アレルギー(花粉症)

アレルギーとは

人間には、細菌やウイルスなどから体を守る免疫機能が備わっています。免疫とは、細菌やウイルスなどが入り込むと、それに対抗する為に「抗体」を作り、次に同じ異物が侵入した際には、抗体が直ちにそれを攻撃・排除する仕組みの事です。

アレルギーとは体内に侵入する、特に体に害がない物質に対して抗体を作り、過敏に反応する免疫反応です。

アレルギーによる主な目の病気

季節性アレルギー性結膜炎

毎年同じ季節になるとアレルギーによって結膜炎が起きます。花粉症がその代表です。結膜(まぶたの裏側や白目)は、眼球と外部を隔てているバリアのような膜です。そこに花粉などの異物がつくと、それを排除しようと免疫反応が起こります。

通年性アレルギー性結膜炎

ダニやハウスダストなどがアレルゲンとなる結膜炎です。これらは季節に左右されない為、症状が一年中続くことになります。

春季カタル

結膜に炎症が起きて、かゆみの他、白っぽい糸を引くような粘り気の強いメヤニが出たり、瞼の裏側の結膜に凹凸ができ、ゴロゴロしたり、涙があふれたりします。

花粉症(アレルギー性結膜炎)とは

花粉症とはスギやヒノキなどの植物の花粉が原因となってアレルギー症状を起こす病気です。日本人の約4人に1人が花粉症にかかっているといわれ、今や国民病といわれています。

主な症状

  • 目のかゆみ
  • 目の異物感(ゴロゴロする)
  • 目の充血
  • 涙が出る
  • メヤニが出る

一般的に、花粉症(アレルギー性結膜炎)は、毎年同じような季節に起きること、左右の症状の程度差はあっても両方の目に出るのが特徴です。
花粉症の場合、目の症状だけではなく、鼻の症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり)を伴う場合が多く、のどの症状(のどのかゆみ、イガイガする)や、皮膚のかゆみなどの症状が現れることがあります。ひどい場合は全身の倦怠感、発熱なども伴うことがあります。

かゆいときは、ついこすってしまいがちですが、かゆさが増して症状が悪化してしまうことがありますので、かゆみを抑える適切な治療を受けてください。冷やすと少しおさまる傾向にありますので、対処法の一つとしてお勧めします。
目の異物感、ゴロゴロ感も気になるところです。花粉が入っているからゴロゴロすることもありますが、目を洗っても落ち着かないこともあります。それはまぶたの裏側の結膜が炎症を起こして腫れてくることによってゴロゴロ感を感じるからです。こすらないようにしましょう。

花粉症が発症するメカニズム

外部からの抗原と自分を守ろうとする抗体が結合(反応)して、抗原の動きを止め、無毒化する免疫機能の反応を抗原抗体反応といいます。
では、花粉症の場合はどうでしょうか。

① 花粉が体内に侵入するとそれを受け入れるか、敵と認識するかを考えます。敵と認識すると抗体(IgE抗体)が作られます
② 抗体ができた後に、再び花粉が体内に侵入すると鼻粘膜や目の結膜にある肥満細胞の表面にある抗体と結合します。
③ 肥満細胞からヒスタミンなどの化学物質が放出され、花粉を体の外に排出しようとします。

その結果、花粉をくしゃみで外に吹き飛ばそうとしたり、鼻水や涙で洗い流そうとしたりします。
花粉症は体内に侵入した花粉を敵と認めてしまう過剰な反応(アレルギー反応)なのです。

花粉症(アレルギー)が発症するまで

体のなかに異物(花粉等)が入ってきます。

異物と認識されると、抗原に対抗するため、抗体(IgE/免疫グロブリンE)が作られます。体内の肥満細胞表面には、IgE受容体があり、 IgEはそこに結合します。※産生されるIgEの量が、ある一定量を越えるとアレルギー反応を起こすと考えられています。

肥満細胞表面に結合したIgEに抗原が結合すると、細胞が活性化され、細胞の中に含まれているヒスタミン等の化学伝達物質が放出されます。

ヒスタミン等の化学伝達物質により、脳へ情報が伝わると、かゆみ、鼻水、くしゃみ等のアレルギー症状を起こします。

花粉の飛散時期

関東地方では、2月から4月はスギ花粉、少し遅れて4月から5月はヒノキ花粉、6月から8月はカモガヤなどのイネ科花粉、8月から10月はブタクサやヨモギなどのキク科の花粉が主として飛散します。

日本は南北に細長い地形のために、地域により花粉の種類や飛散時期が異なります。(例えば、スギは北海道と沖縄にはほぼ存在しないため、スギ花粉症はほとんどありません。そのかわり、北海道はシラカバの花粉症が多くみられます)先に述べたようにスギとヒノキの花粉は飛散時期がほぼ一緒ですが、通常ヒノキ花粉の方が1か月程度遅れて飛びはじめます。スギとヒノキの花粉は形もよく似ていますので、スギに反応する人はヒノキにも反応しやすく、スギ花粉症の方の約7割がヒノキ花粉にも反応するといわれています。

関東地方では、スギ花粉の飛散はゴールデンウイーク頃には終息し、症状が治まりますが、ヒノキ花粉にも反応する方はゴールデンウイーク明けも症状が続くことになります。

花粉が飛散する条件

以下の条件が重なると花粉の大量飛散が起こります。

  • 晴天で気温が高い
  • 雨上がりの翌日
  • 乾燥している
  • 風が強い日
  • 昼前後と日没後

条件が揃っている日は症状がひどくなる傾向にありますので注意が必要です。

花粉の最新情報はこちら
環境省花粉観測システム
花粉情報 – 日本気象協会

スギ花粉症の治療法

花粉症は、症状が重くなると薬が効きにくい傾向があります。一般的に病気の治療は症状が出てから行いますが、花粉症の場合には症状が出る前からの治療が認められています。それが近年広まりつつある「初期療法」です。花粉症であることがわかっている患者さんに花粉が飛び始める1~2週間前からお薬の服用を開始する治療です。「初期療法」により花粉症にならないわけではありませんが、以下のようなメリットがあります。

① 症状の出現を遅らせたり、症状の終了を早めることができます
② 飛散のピーク時の症状を軽減できます
③ 使用する薬の量や回数を少なくできます

なお、「初期療法」により症状が軽くなってもシーズン途中で薬をやめてしまうと症状がひどくなることがあるので、シーズン中は治療を続けることが大事です。

花粉症(アレルギー性結膜炎)の治療に使う点眼薬

アレルギーの症状のもとになるヒスタミンを抑えるため、抗アレルギー剤点眼を用います。症状のでる約2週間前から使用すると効果的です。症状が重い場合は、ステロイド点眼薬を併用することもあります。

(1) 抗アレルギー剤

メディエーター遊離抑制薬

肥満細胞に働き、ヒスタミン等の化学伝達物質の遊離を抑制します。即効性はあまりありません。(インタール®・アレギサール®・リザベン®など)

ヒスタミンH1-拮抗薬

ヒスタミンとH1受容体の結合を阻害し、結合によっておこるかゆみ等の作用を抑制する、抗ヒスタミン作用をもっています。即効性が期待できます。(サジテン®・リボスチン®・アレジオン®・パタノール®など)

ロイコトリエン拮抗薬

ロイコトリエン(化学伝達物質のひとつ)の遊離を抑制します。(ゼペリン®・アイビナール®など)

(2) ステロイド点眼薬

ステロイドは強い抗炎症作用をもち、症状の重い場合に用いられます。副作用として眼圧の上昇などがあるので、慎重に処方されます。使用時には定期的な検査、診療を受ける必要があります。(フルメトロン®・リンデロン®など)

以上のように花粉症の点眼薬にはいろいろな種類があります。症状の出方に応じて、薬を選択します。医師に症状をしっかりと伝え、自分に合った点眼薬を見つけるようにしましょう。

花粉症(アレルギー性結膜炎)になったら?

目のアレルギーの治療には主に抗アレルギー剤点眼を使います。かゆい時だけ点眼するのではなく、決められた用法容量を守ってきちんと点眼をする事で効果が得られます。さらに症状が強い場合は、副腎皮質ステロイド薬も用いられることがありますが、副作用が現れることがあるので、使用にあたっては注意が必要です。指示に従った点眼をお願いします。また、症状に合わせて抗アレルギー剤の内服を使うこともあります。早めに眼科を受診し、適切な治療を受けましょう。