お子様の近視マネジメント

小学生の約3人に1人が、視力1.0未満に!

近視の人口は日本でも増加し続けています。小学生で3割を超え、中学生では半数を超え、高校生では6割を超えており、年々増加の傾向にあります。

学童の近視の割合

学童時に近視化が進行するしくみ

近視の原因は現在のところ、よくわかっていませんが、遺伝的な要素と環境が関係すると考えられています。親が近視の場合、子どもが近視になる可能性は比較的高く、遺伝的な要素が複雑に絡んでいると考えられます。環境も影響すると考えられています。勉強、読書、パソコンなどディスプレイを見る作業を長く続けていると、目が疲れ、好ましくないのはいうまでもありません。

目の成長

眼球の長さを眼軸長と言いますが、生後は眼軸長が短く約17㎜、3歳で22.5㎜となり、焦点が網膜後方に結ばれている遠視傾向にあります。成長の過程で目も成長し、正視化していきます。13歳でほぼ成人と同じ24.0㎜になると言われています。眼軸が1㎜長くなると約3Dの近視化が起こります。

眼軸の延長

近視とは、眼軸の伸長により光線が網膜上ではなく網膜より手前に焦点を結んでしまう状態を言います。特に成長期に体の発達とともに眼軸長のバランスが壊れ近視になるケースが多いとされています。

正視とは

目の調節を行わないときに、平行光線が網膜上に結像するようになっている目のこと。正視眼。

日常生活では網膜像のボケ情報に対し、水晶体の厚みを変えるオートフォーカスで網膜上にピントを合わせていますが、100%の反応ではなく、近くを見るほどピントを合わせきれず調節不足(焦点は網膜後方に存在)の状態になってしまいます。

近距離を見ようとするほど調節反応が鈍り、次第に焦点が網膜の後方へずれていってしまいます。この現象が近視化に関係していると言われています。
日常生活では網膜像のボケ情報に対し、水晶体の厚みを変えるオートフォーカスで網膜上にピントを合わせていますが、100%の反応ではなく、近くを見るほどピントを合わせきれず調節不足(焦点は網膜後方に存在)の状態になってしまいます。近距離を見ようとするほど調節反応が鈍り、次第に焦点が網膜の後方へずれていってしまいます。この現象が近視化に関係していると言われています。至近距離を見る時に必要なこの「調節」を手助けすることで、近視の進行を抑制することが可能だと考えられています。

調節必要量が大きいほど、つまり、視距離が短く、また長時間に及ぶほど調節反応が鈍り、次第に焦点が網膜の後方へずれが大きくなり、眼軸が延長し、近視化が進むと考えられます。しかし、こういったことが近視の原因になるかどうか、はっきりした証明はありません。

※標準的な単焦点レンズ 調節不足により焦点が網膜の後ろにシフトする
※特殊な設計で近用部に加入度数をつけることにより調節ラグを軽減させる。
 

代表的な近視マネジメント ー近視の進行を抑制することが大切な理由ー

子供の近視は、主に眼球が楕円形に伸びてしまう(眼軸長が伸びる)ことで、ピント位置がずれることにより生じるケースが多くあります。
近くを見ることが習慣化してしまうと近視になりやすく、一度眼軸長が伸びてしまうと戻ることがありません。そのために眼軸長の伸びを抑えることが、近視の進行を抑制するために重要となります。

低濃度アトロピン点眼

低用量のアトロピン入り目薬などによる治療方法です。薬による近視からの完全な回復は難しいですが、治療を続けている間は近視の進行を軽減する効果があると言われています。
当院ではMyopine(マイオピン)点眼薬での治療も行っております。

オルソケラトロジー

就寝時に特殊な形状のハードコンタクトレンズを装用し、日中は何も使用しないで生活をするという方法です。近視の矯正と、眼軸の伸長を抑制し近視の進行をケアする効果があるといわれています。ただし、効果は日によって安定しないケースもあります。※医療費控除の対象となります。
当院ではオルソケラトロジーの治療も行っております。詳しくはこちらのページにてご説明しております。

多焦点ソフトコンタクトレンズ

遠方視と近方視を矯正する部分に分かれているコンタクトレンズを装用します。この設計により目はレンズのある部分では遠くがはっきりと見え、他の部分では近くをよく見ることができるようになります。

マイオキッズ

近視の矯正(遠くをクリアに見るための度数)だけでなく、近距離作業にも最適の度数、調節ラグを減少させるための特殊なデザインの眼鏡レンズです。6歳から12歳までを対象としています。
※MCレンズは現在販売中止となっています。
当院ではマイオキッズの処方も行っております。詳しくはこちらのページにてご説明しております。

生活習慣改善による近視のアイケア

近視の矯正や治療方法を選択することに加え、子供の目の健康のためにできることがたくさんあります。近視になる因子のひとつに「遺伝」もありますが、「環境」や「生活習慣」を見直すことで近視の進行を防ぐことができるといわれています。大人にも当てはまることがありますので一緒に取り組みましょう。

1.屋外で活動する機会をつくりましょう


屋外で活発に活動する子供のほうが、近視が進行するリスクが低いという研究結果があります。毎日少なくとも1時間は屋外で活動する機会をつくりましょう。

2.デジタル機器は適切な距離で


本やデジタル機器と目との距離は30cm以上離しましょう。姿勢をよくすることは適正な距離を保つことにもつながるので、目にも良い習慣となります。

3.適度な休憩をとりましょう


読書やパソコンなどの近距離での作業中、30分に1回、2分程度の休憩をとることが重要です。休憩中は遠くを見るようにしましょう。

4.健康的な食事を摂りましょう


栄養素は視覚システムの正常な発達に影響を与えます。バランスの良い食事を摂るように心がけましょう。

5.十分な睡眠をとりましょう


睡眠は体と神経のエネルギーの回復にとって重要です。睡眠不足は疲勞やストレスの原因となり、視覚を含む日常生活の活動に影響を及ぼします。就寝前にデジタル機器を見るのも控えましょう。

6.照明環境に気をつけましょう

適切な照明は、読書や学習から遊びまで、あらゆる活動において必須です。照明環境に気を配り、子供が十分な明るさの照明の下で活動できるようにしましょう。自然光を利用することをおすすめします。