「ハードコンタクトレンズ」
一般に広く普及しているコンタクトレンズですが、大きく分けて、ハードコンタクトレンズ(ハード)とソフトコンタクトレンズ(ソフト)の2種類があります。
最近は、使い捨てソフトレンズが主流になっていますが、ハード(特に酸素透過性のもの)には捨てがたいメリットがあります。目への酸素供給量が多いため、ソフトより目の健康維持がしやすい特長があります。
コンタクト使用時、目に届く酸素の量が少ない状態が長く続くと、角膜(黒目)の細胞が損傷したり、感染症になりやすくなったりします。
ハードレンズは大きさが角膜より小さいため、角膜の周辺部は直接酸素に触れます。素材自体も酸素透過性です。
瞬きによりレンズが動くので、その都度、角膜の表面に涙が流れ、目に酸素が運ばれます。
ハードの場合、目にゴミが入ったり、角膜が傷ついたりしたときに痛みを感じやすく、目の自己防衛へ早めにレンズを外して対応できます。
文字通り、レンズが硬く、形がしっかりしているのでソフトより物がはっきり見えます。また、乱視(正確には角膜の乱視)の矯正もでき、中年以降で老眼になった時には遠近両用タイプも選択できます。ソフトにも乱視用はありますが、乱視用でさらに遠近両用タイプはありません。
ハードは素材に水分が含まれていないため、乾燥による見づらさを感じにくいのも利点です。パソコン作業が多い方にはよいと思われます。また、手入れも比較的簡単で、ソフトのように保存液でなく、水道水ですすぐことも可能です。
個人差はありますが、レンズの寿命も3年程度で、コストも使い捨てソフトレンズに比べ約3分の1程度になります。
一方、デメリットもあります。レンズが硬いため装着時に異物感が生じやすく、人によっては慣れるまでに時間がかかることがあります。
また、激しい運動時には落ちやすいというのも弱点です。週末だけスポーツをする人なら、一日の使い捨てソフトレンズと併用すればいいでしょう。
①乱視があるけど遠近両用を使いたい②夜遅くまで働く③近視が強いため長時間の装着が多い④ソフトでは乾燥がつらい⑤できるだけはっきり見たい⑥ランニングコストをできるだけ安くしたい―――。このような人は一度ハードレンズの装用を検討してみてはいかがでしょうか。
〈小杉眼科副院長・林 康司〉
〈第4月曜掲載〉
(小杉眼科副院長・林康司)