[瞳の相談所3] 飛蚊症

明るいところや白い壁などを見た時、目の前に蚊やごみのような浮遊物が飛んで見えたことがありませんか。目を動かしても影は同じ方向に移動し、まばたきをしても目をこすっても消えません。これが飛蚊症(ひぶんしょう)です。
飛蚊症はどうして起こるのでしょうか。眼球の中の大部分は硝子体(しょうしたい)というゼリー状の透明な物質です。外から入ってきた光は角膜と水晶体を通り、さらに硝子体を通過して網膜に到達します。
本来透明な硝子体に何らかの原因で濁りが生じると、その影が網膜に写ります。濁りは目の中にあるので、眼球の動きとともに一緒に動き、虫や糸くずなどが飛ぶように見えるのです。
この飛蚊症の原因として一番多いのは、加齢です。硝子体は年を経るとゼリー状から液体に変化して収縮します。そしてある年齢になると硝子体が網膜からはがれます(後部硝子体剥離[はくり])。このとき硝子体の後方についた濁りで飛蚊症が生じます。
しばしば急に症状が出ますので、慌てて眼科を受診する方もいます。ですが、診察の後にこのタイプの飛蚊症と診断されたなら、症状が進まない限り問題はありません。
一方、後部硝子体剥離を生じたとき、硝子体と網膜の癒着が強い部分が引っ張られ、光がピカピカとまぶしく見える光視症を併発することもあります。その結果、網膜が裂ける「網膜裂孔(もうまくれっこう)」に進むこともあります。
さらに網膜裂孔を放置すると、多くは症状の重い「網膜剥離」を発症します。網膜剥離になると、視野の一部が欠けたり、ゆがんだりして見づらくなります。網膜剥離が広い範囲に及ぶと入院して手術する事でしか治せません。
ただし、網膜裂孔だけや、網膜剥離の範囲が狭い場合には、外来でレーザー治療が行えます。
このほか、網膜の血管が破れ、硝子体の中に出血を起こした場合(硝子体出血)も飛蚊症になります。糖尿病や高血圧などの全身疾患やけがなどが原因です。出血が少ない場合には自然に吸収し、症状は回復します。大量に出血したときは、急激に視力が低下して手術が必要になることもあります。
飛蚊症の多くは加齢に伴う生理的なものですが、時に思いがけない病気が潜んでいます。飛蚊症がみられたら早めに眼科を受診し、診断を受けましょう。

(小杉眼科副院長・林康司)