緑内障とは
角膜と虹彩の間、虹彩と水晶体の間には、透明な房水と呼ばれる液体で満たされています。房水の産生と排出のバランスが崩れると眼球内の圧力(眼圧)が上昇します。
緑内障とは、眼圧が高くなることにより視野が欠けてくる病気です。眼圧が高くなるなどの原因で視神経が損傷を受け、治療せずにそのまま放置しておくと、やがて失明してしまうこともあります。失明原因の第2位であり、40歳以上の緑内障有病率は5.78%と海外に比べても極めて高い数値です。全国で緑内障患者は200万人と推定され、その約80%は治療を受けていないといわれています。
原因と種類
急性閉塞隅角緑内障
激しい眼痛や頭痛、腹痛、吐き気や嘔吐などの症状とともに突然襲ってくる急性の緑内障です。 これは房水の排出口( 隅角) が塞がれてしまい、眼圧が急激に高くなってしまうため起こります。
このタイプの緑内障の発症に伴い頭痛等が起きた場合、眼科の病気ではなく内科の病気と間違えられやすく、治療が遅れて失明してしまうケースもあります。
原発性開放隅角緑内障
房水の排出口( 隅角) は開いていますが、排水路( 線維柱帯、シュレム管) が詰まってしまい、房水がうまく流れなくなるために眼圧が高くなり起こる緑内障で、 初期はほとんど自覚症状がありませんが、少しずつ網膜や視神経などを侵していきます。
正常眼圧緑内障
房水の排出口が塞がっておらず、眼圧も正常であるにもかかわらず、視神経が傷害を受けているという緑内障です。自覚症状もありません。現在もっとも多いタイプです。
緑内障の検査
視野変化が起きているか、自覚症状を確かめる検査が必要になります。
動的視野検査
ゴールドマン動的視野測定。
静的視野検査
ホワイトオンホワイト静的視野測定に加え、 早期発見のためにブルーオンイエロー静的視野測定およびフリッカー静的視野測定。
眼圧測定
眼球内の圧力を測定する検査。
隅角検査
眼圧が高い場合に、隅角の状態を調べる検査。 隅角が広ければ開放隅角緑内障、狭ければ閉塞隅角緑内障です。
緑内障の治療方法
治療は眼圧を下げ視野障害の進行をくいとめるようにします。
薬物による治療
点眼薬と内服薬による方法があります。点眼薬では一日1回~数回の点眼を行いながら眼圧や視野障害の経過を追い、場合によっては内服薬を使用します。
レーザー光線治療
レーザーを照射して、房水の循環・排出をスムーズにし、眼圧の上昇を抑えます。緑内障の病状によってレーザー治療の方法(レーザーの照射場所や手技)が異なります。いずれも眼球を切開しないので、比較的短時間で処置が終了しますが、緑内障のタイプによってはレーザーによる治療が行えないこともあります。
手術
レーザー光線治療で効果が得られない場合手術による治療を行います。手術では人工的に房水の通り道をつくることで、眼圧の調整をおこないます。
緑内障の予防
緑内障が進行し視神経に影響が及んだ場合、損害を受けた視神経は治療をしても元には戻りません。
現在は、視野狭窄の進行を遅らせる治療で、根本的に視野を回復させる治療法はありません。その為、視神経が損害をうける前の早期発見・早期治療が重要となります。
緑内障は病状が進行するまで自覚症状があまりありません。40歳を過ぎたころから、年に1度は眼圧測定や視野検査を受ける事が大切になります。